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ピクセルリマスター版FF1における原作&過去のリメイク版との違いを紹介―①演出とグラフィックの進化

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2021年7月29日(木)に発売されたSteamおよびスマートフォン用ゲーム、ファイナルファンタジー ピクセルリマスター版『ファイナルファンタジー』(スクウェア・エニックス)の紹介。

 

演出面での違い! 具体的にどこが違うの?

FC版に忠実なグラフィックで新しく蘇った新生『FF1』

ファイナルファンタジー ピクセルリマスター』においてメインとなる変更点はグラフィックである。
ピクセル」(画素)の名の通り、ファミコン時代のドット絵を基準にグラフィックが作られている。
オリジナル版の雰囲気を再現したうえで、渋谷員子が新たに制作を行った。
渋谷員子は、旧スクウェア時代からグラフィックデザイナーを担当しており、オリジナル版『FF1』でもドット絵を担当した。

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具体的な変更点として、例えばジョブのグラフィック(ドット絵)が異なる。
プレイヤーキャラのグラフィックはワンダースワンカラーへのリメイクの際に新規に描き下ろされており、今までの移植版でも基本的にWSC版をベースとしてきた。
それが今回ファミコン版をベースにしたドット絵に変わっている。

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シーフは『FF3』以降、緑色のバンダナを巻いた姿が定着しており、WSC版でもそれを踏襲していた。
今回の『ピクセルリマスター』では青髪に黄色い服装で登場している。
これはファミコン版に準拠したキャラクターデザインである。

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原作ではクラスチェンジを行うと子供から大人に成長したように頭身が上がる。
後の作品のイメージと異なるからか、WSC版以降は頭身は変わらず服装が豪華になる形に変更されていた。
これも今作ではファミコン版に準拠したグラフィックに変更されている。
特に上級ジョブである黒魔道士は、帽子を取ったかなりいかつい姿になるので好き嫌いがわかれるところである。

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敵キャラクターのグラフィックもファミコン版に準拠した姿に変えられている。
WSC版以降、港町プラボカで戦う「かいぞく」は片膝立ちで長い刀を持っているグラフィックに変更されていた。
今回の「海賊」は、斜め方向に中立ちして片手に小刀を持っているというFC版に準拠した姿に変わっている。

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また、4体のカオスも、WSC版以降はプレイヤーキャラに対面していないと変だと考えられたのか、描き下ろされたうえでPCに対面する向きに変更されていた。
これもFC版のように画面正面を向いたグラフィックに変更されている。

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ただし、マップチップやNPCなど、プレイヤーキャラ以外はWSC版に近いものになっている。
エルフの町の住人は、ファミコン版では黄色い帽子を被っていた。
今回のグラフィックはWSC版以降の緑色の帽子をかぶった姿である。
「リンクここに眠る」のネタがわかりやすいというメリットもあるが、ファミコン版準拠というにはいささか中途半端にも思える。

また、あくまで「イメージ」であるため、ファミコンでは難しそうに思える演出も残っている。
4体のカオスと戦うとき、ファミコン版ではメッセージだけで戦闘に突入した。
今回は、クリスタルを調べると半透明の円状のエフェクトをまといながらマップ上のグラフィックもカオスの姿に変化するという、WSC版以降の演出が使われている。
こういったグラフィックは当然原作に登場しないため、FC、SFC時代をイメージしたドット絵になっている。
よく言えばレトロな、悪く言えば画質の荒いグラフィックであると言える。

BGM、SEも刷新! SFC時代のFFのような新サウンド

音楽やサウンドエフェクトについても一新されている。

原作で作曲を担当した植松伸夫監修のもと、すべての曲がアレンジされている。
原曲を損なわず、かつSFC以降のFFシリーズのイメージに合わせた音楽になっている。
ROMカートリッジの制約上、やりたくてもできなかったことを再表現、復元するといったコンセプトでアレンジされている。

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BGMについては、WSC以降のリメイク版で大枠が固まっていることもあり、あまり変化はないが、すでに完成されつくしており聞きごたえのあるものになっている。

SEについてはSFC時代をイメージしたものに変更されている。
杖やハンマーに面影が見られ、グラフィックエフェクトも変更されている。
今回のリメイクが、『FF1』~『FF6』までを同じ規格でリニューアルするというコンセプトであるため、その一環だろう。

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メッセージはおおむねGBA版以降を踏襲

ファイナルファンタジー』第1作のセリフ回しは、大きく分けてファミコンMSX版、WSC・PS版、GBA版以降の3系統に分けられる。
今回のピクセルリマスター版では、おおむねGBA版以降に準拠している。

原作であるFC版では、ノリのいいメッセージが特徴で、『ドラゴンクエスト』等の他のRPGにはない要素になっていた。
たとえば「どくけし」のアイテム説明は以下のようなものである。

どくだなんて かっこわるいですよ! さあ
このくすりで なおしましょう。だれですか?

これに限らず、各種オブジェクトを調べると同様のノリのメッセージが表示される。
プレイヤーが色々なものを調べ、ストーリーやヒントを見つけてくれることを期待した配慮かもしれない。

WSC版、PS版では、上記のようなアイテム説明はなくなり、普通の説明文になってしまった。
ただし、これらのバージョンでは、その他の部分はほぼ原作通りである。
お店や追加イベント・演出にかかわる部分以外はFC版と同様である。

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GBA版以降では、他のシリーズとの整合性や雰囲気を合わせるためか、あらゆるセリフが大幅に変更された。
WSC版で追加された橋の建築イベントは、FC版のノリを継承した楽しげなセリフが使用されていたが、GBA版以降は変更されている。
よく言えば王道ファンタジー的な、悪く言えば何の変哲もないメッセージになったと言える。

今作、ピクセルリマスター版も大枠はGBA版を踏襲しているため、基本的にセリフはGBA版同様である。

ただし、GBA版以降になってもなお残っていた軽快なセリフである「宝箱の中は 空っぽだっ!」が変更されている。
ピクセルリマスター版では「何も入っていない。」というセリフになっている。
おそらく他のシリーズと同じ規格での移植を目指したためだろう。

これで軽快なセリフとして残ったのは、噴水と井戸のセリフだけになってしまった。
しかも井戸はファミコン版では「いどです。なにかありそうでなにもない いどです。」だったのが、GBA版以降で「井戸です。入れそうで入れない井戸です。」に変更されている。
細かなもの(店で買い物をした時の「いいかな?どうかな?」など)を含めれば他にもあるが、有名どころは絶滅危惧種である。

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モンスター図鑑などのコレクション要素がアツい!

近年のRPGはやり込み要素として、収集要素が取り入れられているものも多い。
ピクセルリマスター版『FF1』でも、そういった要素が取り入れられている。

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モンスター図鑑は、フィールドマップ上にモンスターを配置して俯瞰できるモードが実装された。
実際にモンスターが生息している様子を眺めることができ、新たな発見ができるかもしれない。

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さらに、スマートフォン版限定で、実際にモンスターと戦闘を行うシーンを鑑賞できる。
スマホのカメラを使用して背景を変更することもでき、記念撮影などに利用することもできる。
目新しさはあるが、初期のFFシリーズはサイドビューなのでAR・VRで体感するという感じではない。
あくまで「リマスター」であるため、原作のイメージを損なわずできる限界がこのあたりといった所だろう。

宝箱の回収率も記録される。

回収率は「全部で○個あり、●個回収した」ということがダンジョンごとに記録される。
ダンジョンの探索で見逃した場所がないかなどがわかり、ゲームのやり込みを深める要素になっている。
『FF2』以降と異なり隠し通路・隠し宝箱などはないため、『FF1』においてはそこまで気合を入れて探索しようと意気込まなくても100%にすることは容易だろう。

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SoC、時の迷宮など、過去のリメイク版の追加要素は実装なし

このようにさまざまな機能が搭載された『ファイナルファンタジー ピクセルリマスター』であるが、過去のリメイク版で追加されたエクストラダンジョンや追加アイテム・追加ボスは収録されていない。
これは本作がファミコンのオリジナル版をベースとしたグラフィックを使用しているためで、敵グラフィック、特に『FF4』~『FF6』というSFC時代のグラフィックを使用できないことが理由と考えられる。

GBA以降のリメイク版では「ソウル・オブ・カオス」、PSP以降のリメイク版では「時の迷宮」という追加ダンジョンが実装された。
それぞれ原作にはない追加ボス、追加アイテムが実装され、ゲームの幅を広げる役割をになっていた。

ただ、ゲームバランスとしては原作のファミコン版の時点で完成されており、追加アイテムはなくても十分プレイ可能である。
全体的にボス敵のHPが増えており、特にラスボスのHPはファミコン版の10倍になっているため、厳しいと感じるプレイヤーも多いようだ。
ただし、攻撃力をアップさせる魔法・アイテムが、原作では不具合により無意味となっていたがWSC以降のリメイクでは効果が発生するように修正されているため、特に問題なく攻略可能である。

FF1ピクセルリマスターの基本情報

PC版はSteamで配信中、スマホ版も各種アプリストアで

ファイナルファンタジー ピクセルリマスター』はPCおよびスマートフォンでプレイできる。

PC版は大手PCゲームプラットフォーム「Steam」で配信されている。
外部ゲームパッド(コントローラー)に対応しているので、腰を据えてプレイしたいゲーマーにおすすめである。

スマホ版はApp StoreGoogle PlayAmazonにて配信中。
通勤・通学の空き時間を利用して気軽にプレイしたい方におすすめである。

詳細情報・権利表記

タイトル:ファイナルファンタジー
ジャンル:RPG
ストア:App Store / Google Play / Amazon / Steam
対応言語:日本語、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、ブラジルポルトガル語タイ語、韓国語、中国語(繁体字簡体字
発売:スクウェア・エニックス
発売日:2021年7月29日
Web:https://www.jp.square-enix.com/ff_pixelremaster/ff1/

ファイナルファンタジー
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