遊びながら元素と化学式が覚えられるカードゲーム『アトモン!』をプレイしてみた【ゲムマ2020秋②】
tanQのカードゲーム『化学バトルカードゲーム アトムモンスターズ』の紹介。
ゲームマーケット2020秋の訪問記と購入したゲームのプレイ記録はこちらを参照。
- 『アトモン!』の概要を紹介!基本となる原子カードについて
- 作れる分子カード21種類を紹介!大きい分子を合成しよう!
- 4人まで遊べる「神経衰弱ルール」で遊んでみた!
- 1対1で戦う「バトルルール」をプレイしてみた
- 拡張版パック「プラスグリーン!」の紹介
- 通信教育などを手がけるアトモンの開発会社「tanQ」の紹介
『アトモン!』の概要を紹介!基本となる原子カードについて
『アトムモンスターズ』は、原子を組み合わせて分子を合成するゲームである。
アトモンと呼ばれる原子(アトム)のモンスターが合体して分子になる、という設定である。
基本となる原子カードは以下の6種類である。
- 水素原子 × 10枚
- ヘリウム原子 × 2枚
- 炭素原子 × 6枚
- 窒素原子 × 5枚
- 酸素原子 × 8枚
- 鉄原子 × 1枚
これらを組み合わせて分子を合成する。
作れる分子カード21種類を紹介!大きい分子を合成しよう!
ルールは2種類あるが(後述)、いずれのルールでも分子をどんどん合成していくことが目的となる。
合成した分子の右上に書かれている数値が得点となる。
右上の数値は分子量(g / mol)を表している。
分子量とは、わかりやすく言うと分子の重さ(質量)であり、要するに重たい分子を合成したら高得点ということである。
分子カードの数はかなり多い。
- 水素分子 2 g/mol
- メタン分子 16 g/mol
- アンモニア分子 17 g/mol
- 水分子 18 g/mol
- アセチレン分子 26 g/mol
- シアン化水素分子 27 g/mol
- 窒素分子 28 g/mol
- 一酸化炭素分子 28 g/mol
- 一酸化窒素分子 30 g/mol
- 酸素分子 32 g/mol
- ヒドラジン分子 32 g/mol
- 過酸化水素分子 34 g/mol
- 二酸化炭素分子 44 g/mol
- 二酸化窒素分子 46 g/mol
- オゾン分子 48 g/mol
- ダイヤモンド分子 60 g/mol
- 酢酸分子 60 g/mol
- 炭酸分子 62 g/mol
- 硝酸分子 63 g/mol
- 鋼分子 68 g/mol
- 酸化鉄分子 72 g/mol
原子の重さ(原子量)を合計したものが分子量であるため、原子量の大きい原子を手に入れるとそれだけで圧倒的に有利である。
例えば鉄原子は56 g/molであり、合成できる分子は「鋼(68 g/mol)」と「酸化鉄(72 g/mol)」の2種類である。
どちらも分子量が大きく、これらを合成するだけで圧倒的なアドバンテージとなる。
逆に言うと水素原子は1 g/molであるため圧倒的に不利である。
特に、水素分子については水素原子2個で合成できるものの、その分子量はわずか2 g/molであるためほとんど得点に結びつかない。
その代わり、水素はさまざまな分子に結びついて大きな分子を合成することもできるので、その点でバランスがとられているともいえる。
とはいえ、いずれにしてもカードの引きの運に左右されてしまう感は否めないだろう。
4人まで遊べる「神経衰弱ルール」で遊んでみた!
2つあるルールの1つ、神経衰弱ルールで遊んでみた。
その名の通り、神経衰弱の要領でカードをめくっていくゲームである。
準備として、原子カードをすべて裏向きに並べておく。
マニュアルには「分子カードはおもてを上にならべます」と書かれていたが、スペースが狭い場所だと分子カードまで全て並べるのは大変である。
作れる分子はサマリーにすべて記載されているため、今回は山札として1つの山を作成してサマリーを見ながらプレイすることにした。
各プレイヤーの手番が来たら、カードを1枚めくる。
ここでヘリウム原子をめくってしまった場合、希ガスのため分子を作ることができず失敗となる。
それ以外の原子だった場合は続けて同じプレイヤーがカードをめくる。
めくられた原子カードで分子カードが合成できれば合成成功となり、対応する分子カードを獲得できる。
分子が作れなかった場合や、もっと大きい分子を狙いたい場合は続けて原子カードをめくることができる。
ただし、どう組み合わせても分子が作れない組み合わせになったら失敗である。
合成に失敗するか、分子カードを獲得した場合、次のプレイヤーの手番に移る。
これらをくり返し、どう組み合わせても分子が作れなくなるか、全プレイヤーが5回合成に挑戦したらそこで終了である。
これらをくり返し、獲得した分子カードの分子量の合計がもっとも大きいプレイヤーが勝利である。
水素2枚をめくっても旨みがないので、欲張って原子数の大きい分子を作ろうと試みるが、なかなか作れずターンを棒に振ってしまう。
そんな中、他のプレイヤーにどんどん原子量の大きい原子を引かれてずっとピンチであった。
結局は神経衰弱なので、カードの引きが結果を左右する。
単純な運ゲーではないが、引きが悪いとどうしようもないのは間違いないだろう。
最終的な結果は以下の通りである。
1位 122 g/mol 過酸化水素(34 g/mol)、二酸化炭素(44 g/mol)×2
2位 68 g/mol 鋼(68 g/mol)
3位 63 g/mol 水(18 g/mol)×2、シアン化水素(27 g/mol)
4位 45 g/mol アンモニア(17 g/mol)、窒素(28 g/mol) ←自分
1位は3つも分子を作っているので仕方ない部分もあるが、鋼分子を作った先輩がそれだけで2位になっている。
そして同じく3つ分子を作った後輩は3位。
やはり、引いた原子の運に左右される部分は否めないだろう。
ゲームバランスとしては運が占める部分が大きいが、化学を学ぶためのツールとして考えるとまた違った見方もできる。
ここまで原子カードに格差があると、否応にも狙うべき原子・分子が絞られてくる。
特に、「水素原子は軽い」「鉄原子は重い」という印象が強烈に刻まれる。
よって、おすすめできるのは中学生・高校生、特に理科・化学が苦手な生徒であろう。
学校の授業になるとどうしても無味乾燥な記号や数値を丸暗記するような形になりがちである。
塾や予備校などでは丸暗記にならないよう原理原則からせつめいする講師もいるが、苦手な生徒にとってはより学ぶことが増えてかなり大変である。
それに対してこのゲームだと、数値を暗記するというよりも、何度もプレイしていると必然的に勝利のための戦略として強いカード・弱いカードの印象が残る。
「覚えなければならない」という部分を変えずに自然に覚えられるようになっている部分は評価できる部分だろう。
1対1で戦う「バトルルール」をプレイしてみた
続いてもう1つのルールである「バトルルール」で遊んでみた。
こちらはお互いの手札を出し合ってタイマンで対戦するルールである。
例によって大学時代の後輩とプレイしてみた。
基本的なルールとして、手札の原子カードを全て使い切ったプレイヤーがラウンドの勝利で、合成した分子量分の得点を獲得できる。
これを繰り返し、200点を超えたプレイヤーがゲームに勝利する。
まず攻撃側は原子カードを1枚場に出す。
それに対して相手プレイヤーは、手札から任意の枚数の原子カードを出し、分子を合成することができる。
合成に成功したら、防御側のプレイヤーが対応する分子カードを獲得することができる。
分子を合成できないときは、1ターンに1度だけ、山札から任意の枚数のカードを引く。
そこで合成できれば同様の手順で防御側のプレイヤーが分子カードを獲得する。
それでも合成できない場合、攻撃側は攻撃成功となり、出した原子カードを獲得し、続けて攻撃側がターンを行う。
ヘリウム原子は他の分子と合成できないため、出せば攻撃側の勝利が確定する。
ヘリウムを握っている場合は戦略的に使用することが求められるだろう。
さきほどの神経衰弱ルールとは打って変わって、大きい分子が作りやすい水素はかなり使いやすい。
ただ、得点として加算されるのが分子量であることは変わりないため、やはり鉄原子で構成される鋼や酸化鉄を獲得することが依然として有利である。
実際の対戦でも、4ラウンド目で合成に成功して勝利したかと思ったが、得点が200点に届かず次のラウンドで後輩に負けてしまった。
拡張版パック「プラスグリーン!」の紹介
アトモンには『アトムモンスターズ プラスグリーン!』という拡張版も発売されている。
拡張パックであるためこちら単体では遊ぶことができないが、よりゲーム性が高いものになっている。
基本パックは前述の通り原子間にかなり格差があるため、水素を多く引くと厳しかったり、鉄を引くとそれだけで大きく勝利に近づくなど、バランスに難のある部分があった。
それに対して「プラスグリーン!」では、原子量の大きい元素を多数追加することで落差を解消している。
今回中心となるのは塩素原子で、原子量は35 g/molである。
塩素はさまざまな分子を作れるため、基本パックであったような「せっかく大きい分子を作ったのに水素が中心だから分子量が小さい」という難点は幾分か解消されている。
その分、覚えなければならない分子は多くなっているため、基本パックに飽きた人におすすめである。
あるいは、大人がプレイする場合はある程度バランスが調整された「プラスグリーン!」を追加して遊ぶのがいいかもしれない。
通信教育などを手がけるアトモンの開発会社「tanQ」の紹介
『アトムモンスターズ』を発売しているのは、東京都渋谷区にあるtanQ株式会社という企業である。
公式サイトには「21世紀を生き抜く力は『好き!』から育つ」というメッセージが掲げられている。
子供の教育において知識だけでなく「思考力」「創造力」「主体性」を育むために、子供の「好き!」を見つけるための活動を行っている。
メインの事業内容は、通信教育「タンキュークエスト」である。
これは一般的なドリルなどを解く通信教育とは異なり、ゲームと動画で子供の興味を引き出しながら学ぶことを主眼としている。
毎月届くボードゲームと動画で遊びながら学べる通信教育である。
学ぶ内容は大きく3つに分かれており、それぞれに対応したスキルを身に着けることを目的としている。
「動画教材」で興味、知識UP
「ボードゲーム」で論理的思考力、集中力、やり抜く力UP
「ディスカッション」でコミュニケーション、コラボレーションの力UP
主な対象は小学1年生~6年生である。
小学生のお子様をお持ちの方はぜひ一度Webサイトを見ていただきたい。
その他にも教室型の授業「tanQLabo」や、出張イベントなども行われている。
『アトモン』以外にもカードゲームを複数販売している。
病原体と戦うカードゲーム『免疫レンジャー!』や、歴史を学べる『田んぼウォーズ』などがある。
いきなり通信教育までは気が乗らない、という場合でも、カードゲームだけでも楽しむことができるので、まずはこれらを購入して遊んでみてはいかがだろうか。
特に、小さい子供をお持ちの家庭にはおすすめの製品である。